SWOT分析とは
企業診断に欠かせないツール
SWOT分析は、戦略フレームワークの中でも最も一般的なもので、企業診断には欠かせないツールです。1960年代にスタンフォード研究所(SRI)のハンフリーらによって考案されました。
SWOT分析は、企業の特質と、それを取り巻く外部環境を4つに分けて抽出するものです。
SWOT分析の意味
SWOTの意味は下記のとおりです。
強み(Strengths)→企業の内部環境で、業績に貢献する組織の特性
弱み(Weeknesses)→企業の内部環境で、業績維持、向上の障害になる組織の特性
機会(Oppotunities)→業界、社会など外部環境で、その企業にとって有利なもの
脅威(Threats)→業界、社会など外部環境で、その企業にとって不利に働くもの
内部環境と外部環境
内部環境では、当社の経営資源(ヒト、モノ、カネなど)の「強み」と「弱み」を抽出します。強みはさらに強化し、弱みは克服することが必要です。
外部環境では、当社を取り巻く環境で「機会」と「脅威」を抽出します。外部環境は場合によって「マクロ分析」と「ミクロ分析」に分けることがあります。機会を活かし、脅威を回避することが重要です。
SWOT分析の使い方
内部環境の抽出
内部環境では、競合相手や顧客の特性に比較して、当社の強みや弱みとなりそうなものを選定します。ある面では強みと言えるが、裏返してみると弱みとなる場合もあるので注意が必要です。
例として下記のようなものが挙げられます。
経営者・・・業務改善に対する姿勢、社員への影響力、営業力や組織マネジメント力
営業・・・目標管理、販売ツール、ホームページ、顧客関係性、満足度調査
開発・・・開発能力、開発・更新頻度、専門組織、予算
生産・・・コスト、生産効率、機械の更新、技術の棚卸、接客態度、倉庫管理、物流方法、外注業者
調達・・・仕入経路、仕入担当者の知識レベル、交渉手段、仕入単価
組織・・・人件費、教育方法、コミュニケーション、能力評価、モチベーション、年齢分布
財務・・・収益性、安全性、生産性、効率性、キャッシュフロー
外部環境の抽出
外部環境は、当社に影響を与える機会と脅威を抽出することが重要です。見方によっては脅威が機会になる場合もあるので、熟慮が必要となります。一見、関係がありそうなものも、実際には影響がないものは省略するといいでしょう。必要なものを絞って記載しなくては、論点がぶれてしまいます。
マクロ視点では、法律・規制等、国内の経済状況、社会情勢の変化、技術的進歩などが挙げられます。
ミクロ視点では、顧客の特性、市場の成長性、市場の場所、一般的な納期や価格、品質や品ぞろえ、競合相手の状態などが挙げられます。
SWOT分析の例
SWOTは、たとえば以下のようにして整理をしていきます。
強み | 弱み |
・経営者の営業力 ・高い収益性 ・最新の機械設備 ・社員の離職率の低さ |
・経営者以外の営業担当の能力が不足 ・後継者の不在 ・育休制度が浸透していない ・売上の季節変動 |
機会 | 脅威 |
・M&Aを支援する公的機関の存在 ・新しい制度による市場の拡大 ・女性の社会進出 ・健康志向の高まり |
・競合の参入 ・代替製品の開発 ・全国的な人手不足 ・顧客の短納期化の要望 |
クロスSWOT
クロスSWOTとは
SWOT分析によって抽出した内部環境と外部環境を掛け合わせて、戦略策定や課題選定に役立てる手法です。
下記の4パターンがあります。
①「機会×強み」 → 「強み」を活かして「機会」を最大限に活用する攻勢戦略
②「脅威×強み」 → 「強み」によって「脅威」を最小限にとどめピンチをチャンスに変える
③「機会×弱み」 → 「機会」をつかむために「弱み」を克服する
④「脅威×弱み」 → 「脅威」によってピンチに陥らないために撤退する
基本戦略は①になりますが、④にも必ず対応しておかなくてはなりません。②は「差別化」が基本戦略となり、③は長期的な視野が必要になります。
クロスSWOTの例
クロスSWOTは下記のように行ないます。
外部環境/内部環境 | 【強み】
S1.最新の機械設備 |
【弱み】
W1.育休制度が浸透していない |
【機会】
O1.新しい制度による市場の拡大 O2.女性の社会進出 |
S1×O1=最新の機械で大量生産をして、売上を大きく伸長させ、市場拡大のチャンスを追い風とする | W1×O2=育休の活用を推進することで、女性に魅力的な職場をPRし、女性社員の採用につなげる |
【脅威】
T1.顧客の短納期化の要望 T2.全国的な人手不足 |
S1×T1=最新の機械で短納期化の要望に応え、他社との差別化を図る | W1×T2=育休の活用を推進することで、女性社員を採用し人手不足に対応する |
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